元祖振り子区間のスーパーマシン JR東海383系

 元来、日本の鉄道区間というのはお山が多い関係上、それを交わすためにも曲線区間がとってもおおいんですね・・・

 もちろんまっすぐ走れなければコーナリングです・・・かっ飛ばせばすっ飛びますし・・・速度を落として通過すれば当然時間もかかるわけで、これが国鉄の汽車にはとてつもない足かせにもなってたりしております。

 それを改善するために、比較的好評な、名古屋〜長野エリアへの中央西線・篠ノ井線の特急に、コーナーチューンを施した、「振り子台車」というのを装備した、381系という電車をデビューさせ、カーブの多い中央線に対応させてみました。

 ただ、重心がプラプラするということで、これはコーナリング速度を上げるためにはマイナス要因になるそうなんですが、速度アップに伴う乗り心地を補正するためのもんだそうで、実際に乗ってると、カーブでは非常に乗り心地がよかったりします。もちろんそれをこなすためにはパンタグラフもロールすると言うことで、架線側も対応しないと危ないって事で中央西線・篠ノ井線はその対応がなされてるそうです。その後、岡山〜出雲市・大阪(天王寺)〜紀伊勝浦方面と、381系を放り込み曲線でもめげずにガンガン攻め込める特急が出ておりますので、そこは架線関係も対応してると思います。

 さて、いいことずくめっぽく書いたこの381系・・・非常に困った問題も抱えちゃったんですね・・・

 というのは、カーブ曲がってるときは片一方に遠心力という力がかかってるのですごく乗り心地が快適なんですが、その反面、直線になると遠心力が全く働かないため、下回りが右に左にとゆられて、非常にキモい電車であります。 初期の頃は電車酔いしたお客さんが続出したとか聞きますが、今もってあれにのると、たしかに直線ではちと効いてきます・・・

 さて、JRの時代になってきまして、今度は「制御振り子」という方式が開発されまして、JR四国の2000系というディーゼル車に載せられ、四国山地のクネクネ道をこれでもかと攻め込んでいくあの速さと、直線でも全く気にならない乗り心地は、ギョーカイ連中もホンキでビビったことだどうとは思います。JR総研がホンキ出すと、あれだもんなぁ ってのが正直なトコでもあります。

 で、さらに煮詰めていくということで、この電車には、制御振り子だけではなく、台車そのものにも仕掛けを施しまして、少し「操舵」をしてくれるとかで、曲線通過時に、内側の車輪の間隔が外側より小さくなることでさらに曲がりやすくすると言う機能がついた台車が乗ってるんだそうであります。

 通常の振り子電車は、東日本のE351系も四国の8000系も、車体傾けた時の対応でパンタグラフを外側に振ってやる機能が必要になるんですが、最初から対応してある中央西線ではそんなのも必要ない♪ こりゃ便利だ(笑)

 ってことで、いろいろな部分が強化され、最高速が120キロ→130キロに、曲線の通過速度が、+25キロ→+35にと、それまでと比べたら笑っちゃうほど速く走れるようになったわけですね。

 でもって、外観としても、窓が思いっきり大きくなり、木曽路・信州の景色も堪能できるというなかなかすばらしい車両になっております。

 しなの号に入っているわけですが、このしなの号、普段の日と休日でお客さんの乗り具合がものすごく変わる列車でありまして、常にこの編成両数ってワケにもいかないフトコロ事情もありますので、基本が6両、それと4両あり2両ありと、これをくっつけたり引っぺがしたりで組成していくそうです。そう言う意味ではとっても柔軟な編成が組めるそうで、そんなことでも非常に便利にできてるそうです。

 中京圏から信濃へは、ま、迷わずこの電車だよね♪ という状況は当面ゆるがないんだろうなって思います。

(H17.9.25)