2013

さらば ドロ吉


 その日は突然やってきた・・・

 10月23日 地元の建設組合青年部の会議の後ウチにけぇって、最近毎日はやってないおさかなへのエサやりに水槽に入ってみると・・・いつも変なカッコウでまったりしているんですが、今回、このドロ吉さんのカッコウがあまりにも通常じゃない・・・

 おいっ! とビビりながら水槽をつつく・・・ 通常エサやりとかのときにこれをやると、「をっ メシか?」とばかり起きてくるような感じで動き出すんですが今回はいつもと明らかに違う・・・

 体長60cmからあるウナギイヌチックなこの「プロテプテルスードロイ」という肺魚、寝てるときでも体を横にしたり逆さにしたりは決してしないというのがおいらの印象だったんですがどういうわけか横向いてる・・・

 水槽ついても反応がない・・・マサカと思ってう○こなんかを片付けるために買っておいた小さな網を水槽に放り込んでヤツを突いても反応がない(ノ_・。)

 いつもは「余計なモン突っ込んでくるんじゃねぇよ」とばかり反抗するヤツがなぁんの反応もないわけさ・・・

 なんてこったい(ノ_・。) ドロ吉さんお星様になっちまったよ・・・

 えっれ〜状態で2010年の夏にウチで引き取らざるを得ないかなという流れで身請けしてから3年ちょい・・・ 人に見せると「得体の知れないアヤシイ魚」だの「キモイ」だの言われてましたが、基本温厚にしてカオ見ると、カミさん曰く「つぶらな瞳でかわいいべ」というこのナマズというかウナギイヌというか、不思議な魚を結構気に入ってたんですが・・・先ほど庭に埋めてやってお別れと相成りました。

 思えばヤツとの出会いはカミさんとの縁とも切れない流れ・・・

 あのころは家業も割とヤバい状況の中、おいらは外貨を稼ぐべくクロネコ太郎なんかをやっていて、ま、藤沢方面でおもれーおねーさんがいて、構ってくれるモンだから遊んで貰ってたわけなんですが、丁度その頃に彼女が離婚しました・・・あそんでくれる? みたいな方向でツルみ始め、元の旦那さんってのもなんかいろいろときな臭い部分有り、今思えばカミさんもアヤシイとこがあるんですが(笑)

 ま、ともかく離婚まで居た家というのがなかなかの状態・・・その中に120cmの水槽があってその中にその不思議な生物がいました。

 大きなナマズみたいな物体にして手足がある・・・それがエレェ汚くなっちゃってスプレーの缶なんかも入っちゃってるような粗悪な状態の水槽の中を普通に生きてたりするわけで・・・なんかエレェ生き物見ちゃったなというのが正直なとこでした。

 で、その家を引き払う流れになってて、中のてんこ盛りな廃棄物の中にヤツも居たわけですよ・・・

 とは言え、あの巨大なお魚をウチで引き取るべく場所がまず思い当たらない、水槽置いて適当に・・・ならウチの片隅にでもなんて調子コイてられるんですがヤツぁあくまでもコンゴな熱帯魚でもありまして、どう考えても外飼いはできない・・・生育環境として一応は20度以上な・・・ 室内だよなぁヽ( ´ー)ノ

 ということで、水槽付で誰か飼ってくれるようなツワモノいねぇ? と仲間内に相談するも「水槽欲しいけどナカミはいらん」・・・なんてやつらだ(爆)

 まままま、いつまでもどうこうしてられず、カミさんのおともだちな片付け屋さんは空いてる衣装ケースにそのドロイを移してくれ、水槽はいつでも持ち出せるようにしてたもんで、その鬼畜な後輩に水槽は身請けして貰う事になり、まだヤツんトコにそれはあることでしょう・・・

 ま、そうやってウチで身請けしたこのドロイ・・・カミさん(当時はカノジョな状態でしたが)は「かわいいべ」というものの、どう見てもアヤシイ(笑) もっと大きな問題はコイツをどう飼えばいいわけ?

 とりあえず色々聞かされてイメージついたこと・・・

・コイツは肺で呼吸するから何分かに1度上に上がる
・というわけでボケかましたり呼吸するためのスペースがないと溺れることもある
・食べ物は実はなんでも食べるらしい(ウチじゃやたらなモンやらんかったけど)
・普段のほほ〜んとしてるようだけどキレると気性荒いらしい
・水槽をものすごく汚すお魚なんだそうな
・そんなわけで水質なんか全然気にしなくて大丈夫
・水温は大体20〜30度くらいでキープすべし
・何でも食べるけど、ま、ソツなく行くなら「キャット」がいいんじゃない?

 ま、衣装ケースごと身請けして汚れてる中側をボチボチ洗い(キレられるとやぢぇん)、とりあえず居られるような状態にしたトコでエサである・・・

 聞かされた「キャット」って・・・なに?

 ま、何でも喰いなコイツならキャットフードでもビビりゃせんな・・・ということでキャットフードを買ってみてやっても喰おうとせず・・・ちゅかそのキャットフードが沈まないヽ( ´ー)ノ

 なんかおかしいよなとカミさんに聞いてみると思いっきり笑われ(ノ_・。) 聞くと「ひかりクレスト」というブランドに「キャット」ってのがあるからと言われそれをゲットしてやると結構喜んで食ってくれました。

 その内、嫁に行っちゃった姉の部屋に60cmの水槽がありまして、少なくとも現状の衣装ケースよりはまともな環境だべ・・・ということでそこへの引っ越しの段取りを取って・・・なんとか引っ越しを敢行。やっぱり半透明の衣装ケースより水槽に入れておいた方がコイツをよく観察できる(笑) 改めて見てみるとたしかにこの「つぶらな瞳」は悪くない・・・ちょっちヘビっぽいガラがなぁなんて思う部分もあるんですが・・・

 問題は「水槽を汚す」対策に買ってみた循環のヤツがまずかった・・・ 肺魚で元々水槽内のお水を浅くしてあったのは深くしちゃ駄目なんだべ? と思ってたわけですよ。ということでヤツの引っ越しの歳も水槽の水を半分くらいにして入れて呼吸の心配をなくしておいたのですが、そうすると今度はポンプが水を吸い上げられない(爆) 参ったなぁヽ( ´ー)ノ どうにもこうにもしゃーねぇわけ? ということでまた相談してみたら、普通に入れちゃって大丈夫よ〜 アフリカだって浅いとこにしか住んでない分けじゃないでしょうに♪ との返答・・・ そりゃそうだ ということで問題ない程度に入れてポンプ回転っ♪ 異常なく動作するポンプ そしてエサをやるとひょいっと食うときあればパクッと行くときもあり、なかなか見てて楽しいウナギイヌが目の前に現れることとなったわけです。

ただ、水槽の水を普通のお魚のごとくほぼ目一杯にしちゃうと息するスペースがなくなるから大変そうってことでちょっと浅めに・・・それだけ気遣ってやれりゃOKな感じでした。

 それまで、どうも動き回れるためのスペースがなかったからでしょうかねぇ? 結構のそのそしてたというカミさん。それからというと結構活発に動くわけですよ(笑) こんなにドロって動くんだぁ・・・ってあぁた、ちゃんと管理してねぇんかよ!というツッコミ処ヽ( ´ー)ノ

 ま、水槽汚す→下にジャリとかは入れてやらん! 水草入れておくと食っちゃう・・・なら入れない みたいな感じでかな〜り殺風景な水槽の中でしたが、それなりにまったり生きててくれました。

 水槽つっついて、ヤツが気づいてくれたときに鼻先にエサを落としてやると襲いかかるように食いつくシーンはちょっと忘れられない思い出になりそうです・・・いい意味でも悪い意味でも(笑)

 ま、そんなこんなでヤツが来て暫くしたら・・・当時彼女状態だったカミさんもウチに居着くようになりまして(爆)、籍を入れたのはそれから約半年でありました。

 カミさん曰く、ドロ吉さんとの縁はもともとおともだちが離婚して飼いきれなくなったからって事で10年から前に身請けしたんだとかでその頃の体長は20センチくらい・・・ウチには体長60センチ近い状態で来ておりましたが(笑) そんなわけでウチに来るまでに10年以上生きていたお魚なんだそうです。

 何せ手間のかからぬお魚なので普段からあまり気にしていないわけですが、2011年3月・・・このあたり、よくよく考えてみると結構ドロ吉の機嫌がよくなかった気がします。

 そしたらあの地震ですよ・・・

 あの大地震のときには気づかなかったんですがその後の余震みたいなのは近くなるとなんかアイツが暴れてる・・・来るかな? なんてーと大体来てたりしたのでナマズ並の予知能力もあったんでしょうね(笑)

 暴れ方が中途半端だからテーした地震じゃねぇべ・・・というとやっぱりそうだったりしましたし(笑)

 そんなん見ながら籍入れて、あれこれ過ごし、いつの間にかドロ吉さんのアゴがふくれてきて・・・なんかの病気らしいけど原因不明にてどうしりゃいいかわかんないけどそんなに心配もいらないみたい・・・とのことでしたが、あれから食欲ねぇんだよなぁ・・・

 目の前にエサ落としても食べてくれない・・・

 う○この出もよくないヽ( ´ー)ノ

 とは言えいつの間にかエサはなくなってるから食ってないわけじゃないみたいという日々で前日までのへ〜んと暮らしてるように見えてたんですが・・・そしてアタマのおはなしになるわけです(ノ_・。)

 帰宅したのが22時過ぎ、とりあえずウチに連れてきた責任者(?)のカミさんには快速進行でメールしました。

 たかだか3年かそこいらの付き合いだったおいらでも、あの本来居るべき場所でくねくね泳いで、呼吸するときっつーとがぼがぼ言っちゃったりしてたあの不思議なウナギイヌみたいなお魚が、今はもう居ない・・・ってだけで妙に淋しいモンなんですが、カミさんは10年以上の付き合い。ドロドロ〜♪ って楽しそうに眺めてるシーンは嫌いじゃなかった・・・ そして本日弔うべく埋めてやったわけですが、彼女は現実を受け入れたくなさそうだったモンなぁ(ノ_・。)

 ま、寿命が10〜20年と言われるこの肺魚 早死になのかというとそんなこともなく、長生きだったかというと、そんなでもなくというなんか平均的な寿命だったようですが・・・

 ちょっとウナギっぽいぬるぬる感が少し残った体、アヤシイ胸びれと足ヒレ(?)がまるで手足のようになってるのももう動かない・・・でも、なんか捕まえたら「何しよんねんっ!」って暴れてくれねぇかな?と期待してるおいらでしたがかなわぬ願望でありました(ノ_・。)

 あの不思議な、そして手間ぁあまりかからないお魚ならまた飼ってみたいかななんて気も起きるのですが、長いこと暮らすことができちゃうだけにほ乳類ほど手間かからないけど失うときのショックもデカイからと言うカミさん。それにはおいらも激しく同意なわけで・・・

 とりあえずココにヤツがウチでそこそこ楽しく生きてたと思う思い出をネタにしてヤツの墓標にできたらと思います。