そろそろ入れっぺぇよ(爆爆)


 平成14年2月22日、午後9時30分頃・・・JR九州の普通列車に快速列車が追突した事故が報道されてましたが・・・ヒドイ事故ですねぇ・・・

 もちろん、運転士が悪いと言えば悪いんですけど・・・まぁ、あんなモン、ある意味日常茶飯事に起きる危険のある事故と言っても良いんじゃないの?・・・ってのが私のコメント(爆)

 以前にもJR東海の東海道線、沼津〜片浜駅間で旅客営業の列車が貨物列車に追突した事故がありました。

 原因だけをコメントすると・・・今回の事故と全く同じであります。

 つまり、わずか5年前の事故の経験が全く生かされていなかったというおはなし・・・同じJRグループにありながら・・・(って、グループ内、必ずしも仲いいワケじゃないらしいよというハナシも聞きますが(笑))

 状況といたしまして・・・先行列車が事故やトラブルで停止しまして・・・それが偶然いい感じの直線で、信号機のすぐ近く・・・そこへ続行列車が入ってきて、支障箇所の先にあるその信号機の現示を見て、力行してドカンっ♪

 全く同じ状況での事故でありました。

 でもって、トノサマ会社のトップは、「運転士の信号見落としで追突しました」などと調子のいいコメントをしておりますが、あんなモン、「ATS」が搭載されていれば未然に防げた事故であります。

 って、JRのコメントでは、「ATS」がついてるコメントがしてあるけど・・・というツッコミは当然ある物と思っておりますが・・・

 わりーけど、S型をATSというなら・・・民鉄が当たり前に載ってるATSは、ほとんどWS(ウォッチングシグナル)のATC(自動列車制御装置)だよ・・・」とゆっておきます。

 私は、「S型」(B型)と、それベースにこそくな修正をしたATS(ATSのSn ST SW SK SFなど)を認めてません! ある意味、私が思うに今回の事故に関しては、JRグループの人災と言っていいほどのていたらく・・・あっさり一刀両断したいと思っております。っつーか、業界さんでその辺の基礎知識持ってるヒトならみんな(もちろん関係者の運転士レベルの人々なんかモロに)そう思ってると思いますけどね・・・

 でわ、ATS(自動列車停止装置)の簡単なおはなしをさせて貰おうと思います。

 これが設置されたきっかけってのは・・・基本的に運転士の信号誤認などによる重大事故が発端になっております。

 それに関係ないトコでのATSは、今の営団地下鉄、時の東京高速鉄道って言いましたっけ?・・・の銀座線、丸の内線などで採用していた「打ち子式ATS」(資料:名古屋市交通局)あたりが走りかと思います。

 コイツは良くできたATSでして、「自動ブレーキ」と言うヤツのシステムを手堅く使ったナイスな機械式ATSでした。 銀座線に関しては(丸の内線も多分そうだと思いますけどね)、さすがに時代に合わなくなった・・・というより、機構上、列車本数を詰めるのに限界があったため、今は「CS(キャブシグナル)ATC(車上信号閉そく方式)になっております。

 このATSは、信号機のトコに「打ち子」と言うヤツがありまして、R現示(赤)になると、その打ち子があがります。

 電車の方には「トリップアーム」というヤツがありまして、赤信号を冒進すると、トリップアームが打ち子に当たりまして、トリップアームのトコにある「ブレーキ管」の空気を一気に排出させます。

 自動ブレーキというのは、元々、「ブレーキ管」という管を通してありまして、それの圧力を減圧させることでブレーキをかける・・・というシステムになっております。最近の「電気指令式ブレーキ」搭載車にはついてませんが、「電磁直通ブレーキ」(SELD:JR HSC−D:民鉄は大体)って方式の場合、非常時の第二ブレーキ&保安用のブレーキとして生かしてありました。 なお、ブレーキ管圧力を一気に減圧すると・・・非常ブレーキになりますので、打ち子式ってヤツぁ良くできてるワケです。 また、冒進してもいいように・・・R現示を2重(要は、もう一つ先の信号も赤)してありまして、赤信号の中に入っちゃっても先行列車にツットるような現象は出ない・・・というスグレものです。

 なお、地下鉄車両・・・通常、せいぜい70キロ程度しか出ない、出せないという前提の物だと思いますので、十分な装備といえます。

 欠点として、ちょっとした障害物でもトリップアームに接触しちゃうと非常ブレーキが動作する・・・という副作用があり、地上線では使われなかったようです。

 さて、ハナシは戻って地上線でのATS関連・・・ハナシはずいぶんさかのぼりますが、昭和20年代には、イマドキのJRのイナカ路線(はっきりゆっておきましょ♪)が採用している、「S型」ATSと称するブツのベースになっている「車内警報装置」なる物が、山手線やら京浜東北線やらに入ってたそうです。

 ところが、コイツがやっかいなモンで・・・機能といたしましては、赤信号手前で警報のベルが鳴る・・・以上♪

 こんだけだったわけです。で、その後昭和37年5月3日、常磐線は三河島・・・此処で停止信号を見落としたSLが、赤信号を冒進して脱線、そこへ対向の列車が衝突・・・車内はパニックになり、前の「桜木町事故」(これも興味あったら検索してみてくださいね(笑))の対策で、非常解放ドアコックを使ってお客さんが線路に脱出しちゃったところへ別の列車が突っ込んで来ちゃって・・・おそらく、戦後最大とも言える規模の鉄道運転事故だったろうかと思います。この事故は、検索エンジンならなんでもOK♪、「三河島事故」で検索してくれれば山ほどネタが出てくることでしょう・・・

 その後、事態を重く見た関係筋・・・上記、車内警報機にブレーキ機能を追加した機械を、時の国鉄車両全車に取り付けました。

 構造としては、イナカ路線(S型)の場合、「地上子」と言うヤツから出る情報を車上で受け取って車内警報をやるヤツと、都市部で使ってたヤツ(B型)は、信号(レールにはね、信号機からの電気も流れてるんですよ(-。-)ぼそっ)の電流を関知して車内警報をやるヤツと大きく見て2種類ですが機能は同じ・・・

 警報地点でベルがなります・・・此処までは車内警報装置と同じ、で、5秒以内に「確認ボタン」を押下して解除・・・しないと非常ブレーキがかかる・・・という機能を加えた、「S型」(前者)と「B型」(後者)が採用されました。

 その後、民鉄各社でも追突事故が多発しまして・・・民鉄にもATSを取り付ける達しが時の運輸省から出まして採用されたんですが・・・国鉄との決定的差異は・・・

 「速度照査機能を入れること!」・・・

 この瞬間、国鉄のそれと大きな差が出て来たわけですね・・・

 で、民鉄のATS・・・以前居た某社の・・・今となっては業界としてはかなりショボい部類(ですが、十分な機能は果たしてますよ♪)と言われているATSの紹介からします。

 ブツは、国鉄「B型」と言うヤツをベースに改良した物です。前のネタで、「レールには信号電流も流れてるのよ」って解説をしましたが、そのほかにも架線からモーターを回した電流のカス(?)がマイナスの配線として変電所に帰ってます。

 で、架線からの電流が直流、信号機の電流は交流なんですけど、信号機って、先にある信号機が後ろにある信号機に電気を出してるんですね・・・電車が居なければ・・・後ろの信号機まで電気が行きますので、もう一本のレールを介して元に戻って回路が完成・・・

 ところが、電車が入ると・・・後ろの信号機の手前に、車輪(車軸)という電気を通す物体が出てきます・・・そうすると、後ろの信号機まで電気が来ない・・・それで「電車がいるよん」って認識になり、信号機を赤にする・・・というのが基本的な構造です。

 メリットとして、レールが折損してたりしても信号機が赤になる(回路が構成できないからね♪)ので、事故防止にもなるという面♪ フェイルセーフなんですね。

 で、某社のそれも信号電流である交流電流を追っかけながら走っております。黄色信号のトコで、機械的に1秒程度信号電流を切ってやるんですよ・・・前の信号機からのd(^-^)ねっ!

 それによって、リレーが一つ落ちて、45キロ制限になります。確認ボタンを押さないと45キロ以上出せませんし、出そうとすると常用のフルブレーキがかかります。

 で、信号機の125m程手前(警戒現示の先は65m手前になります)に・・・「B点」と言うヤツを置き、そこからは信号電流をカットしておきます。そうすることにより、3秒以上、車両の方で信号電流を感知できなくなると・・・2つ目のリレーがオチまして・・・15キロ以上出した時点で非常ブレーキがかかります。また、信号電流を受けてない状態で「確認ボタン」を押すと・・・気持ちよく非常ブレーキがかかります。

 このATSの場合、前方に進行現示をみたら・・・確認ボタンを押して再加速できる反面、注意で45キロ以下に落として進入後、確認ボタンをワザと押して・・・暴走することも技術的には可能ですが・・・んなアホは聞いたことありません(爆) 業界の暴走族みたいな鉄道会社ですけどね・・・運転、かなり堅いんですよ♪

 さて、問題の「S型ATS」ですが・・・

 今回の事故も、5年前の事故も・・・まぁ、民鉄のATSや、現在、JRの都市部で採用している「P型ATS」ってヤツだったらまずあり得ない事故だったと私は思っております。

 というのは・・・某社タイプのATSの場合、信号機の手前に電車が止まっても、それに気づかずに運チャンがミスで「進行っ♪」って加速するとした際、ATSの確認ボタンを押すわけですよね・・・なにせ、それまで15キロ制限かかってるんですから・・・

 信号電流を受けてない状態での確認ボタン→非常ブレーキというスタイルでバッチリ回避♪ というコトになるわけです。停止しりゃ・・・おかしいなぁって先をチェックするので・・・先行列車の尾灯も見えるってもんでしょ・・・

 ところがそう言うバックアップなんかなぁんにもない「車内警報装置+α」では・・・それを守っては呉れない・・・その結果が追突事故ですよ・・・

 ちなみに、今、都市部のJR線では、「P型」というATSが入ってきております。私が住んでる最寄りの線、横須賀線も、とっくに採用済みってATSなんですけど・・・コイツは日本でも指折り級のATSと言われております。

 主に、電車での使用で性能が最大限発揮されるんですが、地上子と車上子ってヤツで通信して、その電車のブレーキのカーブを出しておきまして・・・停止の場合、普通にもっていっても「この位置でこの速度以上だと止まりきれない危険があるからブレーキ・・・」みたいな「パターン」を作ってあります。 運転士は、それさえちゃんとに押さえてあれば・・・他のことを気にしないで運転できるというありがたいシステム♪

 速度照査だけでなく、ブレーキのカーブまで演算してあるので、非常時でも信号の冒進はないってことでしょう♪ で、地上&車上の制御なのでおそらく進行の信号機の直下までは加速できないでしょうしねぇ・・・

 ところで、この手の追突事故・・・まだ他にも例があります。

 時は昭和63年・・・現場は、総武〜中央線の緩行線の東中野駅でのシーン・・・

 当時のクソラッシュタイムでの過密運転がたたって・・・運チャンが信号を見落とし・・・というかまともに確認せず・・・もしかしたら先行列車の発車のタイミングを勝手に読んでの運転だったのかも知れませんね・・・今思えば・・・

 思いっきり先行列車にカマ掘りまして・・・その時の運チャンを含め2名が死亡・・・90名からのけが人を出したそうです。

 ただ、この例に関しては、裏の事情みたいなのが結構あったみたい(ダイヤ改正で運転時分がキツくなってたらしいトコへ、12月の着ぶくれラッシュ(ってのがあるんですよ♪)、さらには正常運転確保のために、お上からすげぇキツいコトやられてたらしいですよ・・・で、ウラ技だろうがなんだろうが回復運転の為に手段選ぶ余裕もなかったらしいってハナシもありますねぇ)なのですが、事情はどうあれ、運転士が規則外の運転方を「故意に」行ったがための事故なので、沼津、九州の事故ネタとは直接的には関連しませんが、使いモンにならないATSのおはなしとしてあげさせて貰いました。

 これも、B型だったんですが、ATSを確認(確認ボタンにて)したらあとはノーチェックという機能が生んだ悲劇の一つであるのが間違いない証明として、この事故から、東京圏のJR東日本の各線は、快速進行で、日本有数とも言えるデキの「P型ATS」を導入していったのでした。

 あの大きな痛手(人柱と言うべきか?)をもってして、東京圏の運転の安全はほぼ保証された・・・と言っていいかも知れません(笑)

 とにもかくにも、今回の九州ネタ・・・たしかに運転士にも重大な責任はあるかと思います。先行列車の尾灯ってヤツぁ見えなかったのかね?・・・ってのが1点、前がR現示で、その先がG現示・・・そうした場合、他に思い当たる原因がなかったらまずレール折損の疑いってヤツがありましてね・・・その辺のハナシを司令所などに連絡する義務があるだろうに、それはどうしたのかな?・・・って疑念もあります。(通常、先行列車が居てのR現示の先って、大体、YとかYG(減速)なんですよねぇ・・・)

 さらに、先行列車がイノシシをやっつけて停止した際、先行列車の運転士は司令所に一報入れてないのかな?・・・という疑念もありますし、もし、先行列車が一報入れてたとしたら、司令所は近辺の列車に注意を促す連絡を入れるってモンじゃないの?・・・って不満もあります。

 ちなみに、近い時間帯には反対側で快速列車が走ってそうですしねぇ・・・対向の快速にも注意運転の一報を入れておかないとさらに危ないんですよ・・・

 おそらく、この件・・・東海道線の沼津ネタ同様、運チャンにツケを全部払わせて終了って形にして帳尻を合わせるだろうコトは一目瞭然なんですが・・・

 昨今、JRは分割民営化して、結構よくなったよね♪ ってコメントも聞きますが・・・

 うんうん(^-^) よくなったよねぇ♪ 「人目に付くトコだけ」はd(^-^)ねっ!っていつも返しております。 その程度のモンです・・・

 とりあえず、京福電鉄ネタ(昨年、正面衝突2連発とかやって、ATSの不備がどうこうってありましたよねぇ)を思い起こして貰いたいんですが・・・あんなの、気の利いた民鉄(江ノ電含む)ではできないけど、JRのローカル線じゃ楽勝ぢぇん♪ って思うんですけどねぇ(-。-)ぼそっ

 たしかに、信号機直下で非常ブレーキがかかる機能があるとか言いますが、閉そく信号機がある限り、「絶対0」というATSは作れないんですよ・・・閉そくの信号故障で、赤信号、1分待って15キロ・・・って規則がある限り・・・で、この規則を作っておいてやらないと、信号故障で列車立ち往生になっちゃうんです・・・なお、このルール、「場内」「出発」などの、信号係員の意志表示ができる「絶対信号機」では1時間の間停止信号でも運転できません・・・

 そーいあ・・・あの区間って・・・ソニックが130キロ運転してる区間じゃなかったっけ?・・・あの、特急がヘタしりゃ20分に1本走ってるって言われる区間にS型かよ・・・こえーはなし。。゛(/><)/ ひぃ・・・

 とにもかくにも、結論として「そろそろ、JR全線で、P型を入れないと、ヤバい時代になってない?」って思うんですね・・・だって、S型あたりじゃ、バックアップ装置がバックアップになってねぇんだもん・・・

 都市部以外では、JR線ってそんな危険もはらんでるらしいって思っていただけたら幸いです。