ランタボ復活の道(4)


 さて、あれからエンジンはボーリングの旅に出まして、1mmほどボアアップってヤツをやって貰いました。今回、オーバーサイズピストンなるモノを入れるということで、それを必要としていたのでした。

 そのついでと言っては失礼なハナシなのですが、槍さんからいただいたクランクシャフトも測定を依頼したそうで・・・チェックして貰ったら、「25/1000だったよ」という親方のコメント、最初、意味が分からなかったんですが、要は、ぶれが、25/1000mmというコトだそうで、かなりまっすぐということらしいです。完全なまっすぐはこの世には存在しませんしね♪

 もしかしたら、コレ、調整したクランクかも知れない・・・というのは槍さんのコメント、なんか、とんでもないクランクシャフトをいただいちゃったようで、本当マジすいません<(_ _)>

 さて、26日、夕方前に連絡がある・・・

 もしも〜し♪

 エンジン組むよ!

 え゛っ? 快速進行で行きます!!

 まさしく快速進行で改造屋さんに向かい、着くと、すでに下ごしらえをしてました。

シリンダーのナカミ、スゲェきれいでしょ?って分かるヒトしか分からないでしょうが そこにはボーリングの旅から帰ってきたエンジンブロックが鎮座してまして、コレがまた美しい♪ といえるほどきれいなんですよ・・・

 旅に出す前に親方がきれいにしてくれたのかも知れませんが・・・

 さて、私を待っててくれたんでしょう・・・早速エンジンの組み立てを開始してくれました。

 まず最初は、クランクシャフトの組み込みになります。槍さんからいただいたスペシャルクランクを私のエンジンにくっつけるわけです。

 オイルで潤滑するんですが、小さな埃もメタルベアリングと言うヤツの傷につながるモノなので、すごくシビアに掃除してから組むカタチになります。本当マジ、一つ一つのパーツだけでなく、取り付けのネジ、ボルト1本1本までしっかり掃除してくれます。

塗ってるヤツが、噂のペースト、和光ケミカル製d(^-^)ねっ! その後、エンジンブロックの、クランクシャフトがおさまるところに「メタルベアリング」なるモノを取り付け、そこに潤滑用のエンジンオイル・・・と言いたいトコなんですが、ココはチューニングショップ♪ エンジンオイルの代わりになるグリスまがいの「ペースト」なる特殊オイルを塗ってくれてます。

 というのは、エンジンオイルだとさぁ、やってるウチにオイルがオチちゃうじゃん・・・というのです。

 たしかにそんな気もしますし理にかなってるなぁって思いますけど、それ以前にシロート目に見てもカッコいい(笑)

クランク込めてる瞬間です さて、静かにクランクシャフトを挿入・・・う〜ん、いい感じ♪ ぴったり決まって私も感激・・・

 そして、クランクを固定するキャップの取り付け、よくみると矢印で方向が、そして、位置の番号もしっかり刻印されてまして、槍さんのトコで、「見れば分かるけど」ってなってたけど、なるほど、コレならわかるなぁ・・・

 コレにもメタルベアリングをつけて例のペーストを塗って取り付け。

キャップまでとりついた状態、バッチリや♪ これさぁ、手で回るんだよね、前のクランク、手で回らなかったモン・・・それだけ違うんだよ。

 なるほど、ちょっち重たいんですが、手で回ります。

 慣らしにもなるし、しばらく回しててもいいよ♪

 うれしさのあまり、しばらく回してました(笑)

 そして、今度はピストンの加工と取り付け・・・

ストーブでピストンとコンロッドを加熱中 コレが古いタイプなモンだから面倒なんですよね・・・

 ピストンとコンロッドってヤツをくっつけるのに、かなりの労力を必要とするタイプなんですね・・・

 ピンを圧入するタイプなので、ピストンとコンロッドをストーブにかけて加熱、厚くなったトコでピンをゲンノウで打ち込みます。コレが固い・・・

 そのあと、ピストンリングを挿入・・・コレも、やっているところを見てると結構楽勝に込めてるんですが、慣れるまで大変なんだぜ♪ と親方談。

ピストンリング込めてます、手つき軽やかです♪ たしかに手のひねりなんかをみてると、慣れが必要な作業ですね、私がいきなりやってもおそらく曲げるか折るかするんだろうなぁ・・・って思いました。

 で、その後ピストン&コンロッドをクランクシャフトに取り付ける作業が結構面倒仕事だったりします。

 ピストンに合わせてシリンダーのアナボコもキメてあるんですが、リングをくっつけると少し出っ張るため、そのままでは込められません、ということで、秘密兵器登場です。

コレ、なんて言う工具なんでしょ?(笑)必要不可欠なんですが・・・ コレでピストンリングを締めておいて軽く叩きながら放り込んでやるとシリンダーの中にきれいにおさまります。で、反対側をきっちり止めてやれば、ピストン、クランクまわりはできあがりです。

 次に、「フロントケース組み込み」・・・ コレがこのエンジンのばあい、クセモノで、三菱特有の「サイレントシャフト」なる余計なモン(?)が付いてる関係で、やり方が変なんですよ・・・

どう見てもギヤにはポッチがないんですよ(o_ _)oぱたっ コレも、エンジンの「タイミング」ってヤツが絡むので、ギヤの位置が決まってくるんですが、1箇所、サイレントシャフト側のギヤにポッチがない!!

 他のギヤ類には全て目標位置が決まっていて、それに合わせていけば全部OKなんですが、それが分からない・・・ってコトで1日目の作業は敢えなく終了・・・(時間切れってのもあるけど・・・)

 その晩、槍さんにその辺の相談をしたところ、やっぱり、ポッチ同士を合わせるということで、解決に至らず、翌日さんざんぱらあれこれ試行錯誤、HPの検索なんかもやってみても思い当たるようなネタは全くなし・・・

コレがディーラーで貸してくれた本、使い込んでます、足跡もありました(笑) そだ・・・ウチのなじみのディーラーに相談しりゃもしかしたらなんとか手が出てくるかも・・・と思ったので、相談したら、結構すぐに出そうな状態だったので、現物をもって見に行ってみることにしました。

 そしたら、どうやら根本的にやりかたが違うみたいで、整備書を貸して貰いました。一通り終わるまでいいよ♪ とありがたいお言葉まで賜って♪♪

 早速、オニのクビでも取ったかの勢いで改造屋さんに戻り、その手順で開けてみると・・・なんと、ないないって見てた反対側の、「サイレントシャフトを付けた状態では絶対に見えない」側にポッチがついてました。

 反対側にギヤ付けやがったべ!! 三菱コノヤロウ!!

 なんて言ってたんですが、ギヤを外して手順通りやってみると・・・

○の中がポッチの合わせ目 左はタイミングベルト、右はサイレントシャフト側 あ、この位置でいいんだ・・・とりあえず、コレでOK・・・と・・・

 その体勢でカタチになり、サイレントシャフトにオイル&ペーストを塗って、「フロントケース」の取り付けに入ります。

 コレが、やっぱりサイレントシャフトのおかげでヒトモンチャク・・・苦労して取り付けておりました。

フロントケース、組んでます、右側はサイレントシャフトを押さえ込んでます その後、サイレントシャフトの「タイミングベルトB」ってヤツのとりつけ、テンションプーリーは新品なのね・・・ それと冷却水用のウォーターポンプも新品に更新♪

 そして、オイルの「ストレーナー」ってのをくっつけると下回りはOKなので、「オイルパン」を取り付け、コレも、今回のためにわざわざ塗装し直してしてくれたのですごくきれい♪

 コレがとりつくと、横に倒しておいたエンジンも本来の向きに変えられます。

下回りがあらましキマったエンジンの図 下方オイルパンは再塗装済み 変えたあと、オイルフィルタエレメントの台座(オイルクーラーの配管もこれにつく)も取り付けます。

 んで、コレと並行して「シリンダーヘッド」のオーバーホール。

 前回のオーバーホールから8年くらいは過ぎてるだろう我がエンジン、アタマに異常は全くないんですが、コレもオーバーホールになります。

 職人さんが2手に別れて、親方がバルブ掃除、職人さんがシリンダーヘッドの掃除をしました。

ヘッド逆立ち中 左側のアナボコ、スゲェきれいでしょ? どっちもすごく地道な作業になります、シリンダーヘッドもひたすら磨く・・・という感じで、やって貰うと、ナカミはスゲェ新品の様にきれいになります。なにせ、穴という穴をきれいにやっつけてくれますからスゲェきれいですし、ポート研磨って程でないにしろ、給排気のアナボコがきれいになってれば効率よく燃えてくれるってもんです。

 そしてバルブ・・・コレもすすが思いっきり付着するモノです、手でごりごりやってみてもまずろくに取れないくらいです・・・

どっちもおんなじモンです で、ヤスリを使って研磨するんですが、ヤスリは80番・・・思ったより粗いな・・・って思いつつ、やってるところを見ると、やっぱりきれいにキマります。ほとんど鏡面の様にきれいになったバルブ・・・この位までやれば、結構効率よくイケると思う・・・は親方の弁。

 そして、きれいになったシリンダーヘッドとバルブをすり合わせという行為をします。

 コレも私が知ってる限りではメチャクチャ地道なお仕事のはずだったんです・・・だってさぁ・・・バルブの所に「タコ棒」なる、吸盤付の棒をくっつけて、バルブ用のコンパウンド(磨き砂)をつけてひたすら拝むように叩くんですよ・・・

今時のプロは拝まない・・・面倒仕事の一つバルブのすり合わせ ところが、今やプロ用ですが、いい道具が出て来てまして・・・エアツールのすり合わせ機があるんですよね・・・

 すり合わせるトコまでの手順は全く同じなんですけど、ひたすら拝まなくてもすり合わせてくれるんですよ・・・

 あたりの面積ってヤツがすごくシビアなんだそうですが、そこはそこ、フルチューンなんかお手の物の職人さんですから、最強の面積を勘で出してくれてるはずです。

こりが噂(?)のコンプレッサー エンジンやっつけるには必要な工具ですね 8本のバルブも、今や少ない部類、思えば、改造屋さんがしょっちゅうやっつけてる「スカイラインのGT−R」は、バルブが24本(4×6で)ありますから、なんと3倍・・・

 シャレにならないくらい大変でしょう・・・

 すりあわせが終わると、今度は組み込み・・・

 バルブスプリングコンプレッサーって道具を使うってのだけは知ってるつもりだったんですが、どう使うのかとかピンとも来てませんでしたからねぇ・・・

一見恐いですが、こんなので、この強力なバネを止めてます で、そのコンプレッサーで、バネとバルブを挟み込んで・・・キマったトコで、きれいにくっつく薬品をちょんとくっつけて「コッタ」を止めます。 しっかし、あんだけ強烈なバルブ・・・よくあれだけのピンで止まるよなぁ・・・親方もコメントしてましたが、私もまさしくそう思います(笑)

 で、最後に止めたあと、ゲンノウで軽くイッパツずつドツいてバルブ組み込みも終了です。

 エンジン組み立て・・・1月26日現在のネタでした。