Letter From 

   LosAngeles

留置所・・・第2章


Episode 1 「留置所・・・第2章 結末」

さて、俺には「ひき逃げ」「殺人」「麻薬所持」の疑いが掛けられていた。
断っておくが「ひき逃げ」した憶えも「殺人」した憶えも「麻薬所持」でパクられるような事はしたことはない。しかし確実に俺は容疑を掛けられていた。

日本語の喋れる警官が言った。しかし御丁寧な日本語だったなぁ・・・
とにかく俺は無実の罪をはらすべく必死だった。
「貴方の車は85年式シボレー・セレブリティワゴンで色はブラウンですね?」おうよ!25万円弱で買ったっての!車両登録局(DMV)にだってちゃんと申請したぞ!
「3月12日深夜3時サンタモニカでひき逃げを起こしてますね。証拠はあります」なに〜!俺そんな事・・・3月?・・・俺まだ日本にいたなぁ・・・おい!人違いだ!
「では、1997年12月の・・・」
だから俺6月にアメリカ来たばっかりだっての!

6月某日、俺はロスにやって来た。そしてロスには電車がハッキリ言ってない!(少しあるか)
バスは鈍亀でさらに危険、タクシーは高い!といった理由で車を購入した。
ロスは完全な車社会。覚えておこう!
んで、こっちではいろいろな形で車の個人売買が多く行われている。
俺は日系マーケットの掲示板でこの車をみつけて連絡を取り購入したのだった。

さてさて、警察で購入ルートの取り調べが始まった。
ここで笑いを少々!
気を効かせてくれたのか目の前に「吉野屋の牛丼」が!
しかもその警官がガックリした顔で「カツ丼屋が10時からなんだ・・・」
うぉ〜!なんて馬鹿なんだこいつは〜!
後で聞いたら日本の「取り調べ=カツ丼」だと誰かに吹き込まれたらしい・・・
素直って警官には向いてないよね・・・でも食ったし!

話を戻そう。
購入ルートは、日本から来てロスに住み着いてしまった日本人(不法滞在。もちろんそんなこと知らないよ俺は)が個人で車の売買のアルバイトをやっていた。そして近所のメキシコ人から車の売買を頼まれ、それを俺が買ったってわけだ。
問題だったのはこのメキシコ人麻薬売買で警察から追われていたし、ひき逃げでバァさん殺しているは、車は盗難車だわ、おまけに不法移民だわで・・いいとこまったく無し!!
ひき逃げしたんで車を売却したってわけだ。わざわざ車両登録書を偽造してまで!
しかし捨てろよ!売るな!まったく!

そう!あの車は盗難車だったのだ!ジーザス!25万がパーか?!と思われたが、こいつは俺に車を売った奴の責任になるらしくセーフ。ざまぁみろ!
まぁ知らなかったんだろうね。でももう乗る気はしないけど・・・

でね、なんで俺が捕まったかって言うと・・・
警察はず〜っとあの車を探していたのよ。で、ある日、車両登録局(DMV)が新規登録されたあの車を発見し警察に連絡した。でも上手く話が伝わらなかったらしく、凶暴なメキシコ人相手かもしれないため、逮捕をちょうどヒマしていた「麻薬捜査課」に依頼。こいつらがまた勘違いをして俺を逮捕。
挙げ句の果てに殴るわ蹴るわ・・・後で聞いたら日本人を装ったメキシコ人だと思われていたらしい。
俺の顔を知ってる人はここで爆笑なんだけど・・・まったくいい迷惑だぞ!
さらに迷惑だったのが、しっかりと取り調べもしないうちに日本大使館や日本の警察に逮捕の話しがあっと言う間に伝わり、その後一週間、国選弁護人と大使館へ通うハメに・・・まったく・・・
そうそう、こっちの国選弁護人は日本より良心的らしい(日本のは知らないからな!)
自分の株を上げるために、と言うかイイ人っぷりをアピールするために新人弁護士ががんばってくれる。
いやぁありがたいですな。御馳走にまでなっちゃって。
なにかあったらあの人に・・なんてすっかり術中にはまってんだけどね。いかんね〜単純で。

問題のメキシコ人は今や国際指名手配。銭方のとっつあん!たのんだぞ!車を売った奴は罰金50万円+強制帰国となった。(せめて一発ブンなぐらせてほしかった)

今だったらこの事件、余裕で警察と車を売った奴を裁判で血祭りにするところだが、当時まだそんな気持ちの余裕がなかったため、少しの謝罪で泣き寝入りとなったわけだ。
普通なら謝罪もないらしいが、あの頃警察の誤逮捕や汚職がメディアで問題となってたらしく珍しく謝罪があったってわけ。わざわざ通訳付けてまで。
あのね、こっちは銃社会でしょ。警官も大変なのよね。ビシバシやんないと殺されちゃうのよ
それで治安を守っているのに嫌われるし安月給だなんて割の合わない仕事だよなぁ・・・
「そうしなくっちやいけない」って事は理解しなくっちやね。
ごくろうさん。でも2度はなしよ!

さて、俺は車をある理由のため、何も知らない留学生に売り付けた(50%まじ)
ごめんな・・・

友達が見たんだよ・・・バックミラーにバァさんが・・・